春夏秋
イジメにあったのも秋だったし。。
恋人と別れたのも秋だったし。。
秋という季節にロクな思い出がないから「秋がキライ」だと教えてくれたそのこは、秋になると不安にかられたり、体調が悪くなってしまうという。
「秋なんてこなければいいのに」
と、夏が終わる頃に必ず口にする、そのこにとって、季節は「春夏冬」で巡っているのかもしれない。
なんてことを「春夏秋」を聴きながらぼんやりと考えてしまった。
「秋」ではなく「冬」がない、この歌。
「あなたを忘れる時間がない
あなたを忘れる時間がない」
緩やかだけどもスケールの大きいベースとドラムの刻むリズムが印象的なサウンドに載って、切なげに橋本のボーカルが歌い上げるのは、巡りゆく四季。
「短い命の花びらがきれいだ」=「春」
「セミがアイスコーヒーを飲んでいる」=「夏」
「綺麗なまま散っていく木の葉達」=「秋」
何気ない言葉を選んでいるのに季節を連想させるだけでなく、同時に「彩り」を感じさせてくれる言葉が紡ぎだす歌詞はメロディーに載ると、聴き手にとっての季節をカラフルにイメージさせてくれる。
しかし、そんな鮮やかに巡りいく季節を歌っている間に挟まれるフレーズは、
「あなたを忘れる時間がない
あなたを忘れる時間がない」
この「あなたを忘れる時間がない」というフレーズ。
言葉の受け取り方によっては、「あなた」と共にすごしている時間が幸せすぎて一緒にいるときも離れているときも「忘れる時間がない」ようという「恋人賛歌」のようにも取れるのだが、
曲が終盤へと差し掛かり、「春」→「夏」→「秋」と巡ってきた季節の表現は「秋」から「冬」へと繋がらならず、そのことが、この歌が離れてしまった「あなた」を忘れようとして、忘れられない歌だと示してくれる。
「あなたに流れる季節は何
あなたを忘れる自信がない」
歌詞の中にはっきりと示されているわけではないけれども、たぶん、「私」と「あなた」は「春夏秋」の季節を共有していたのだけれども「冬」になる前に、離れてしまったのだろう。
その「あなた」のことを忘れられないのが「わたし」だけでないように祈る、最後のフレーズが強烈に切ない。
「私だけ冬になれない
あなたもそうだといいな」
この曲と同じく橋本絵莉子が作詞を担当した「恋愛スピリッツ」がきっかけでチャットモンチーを好きになったという人なら、絶対、気に入るのではないだろうかと思えるこの歌。
失恋した直後に、聴いたら泣いてしまいそう。
哀しいけれど、美しい.
美しいから、よけい、哀しい。。
そんな曲です。
まだ、聴いたことがない人は、視聴だけでも是非、どうぞ!
(2007年4月26日:文責:cinemanabu)
「春夏秋」(「女子たちに明日はない」収録)
作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子(歌詞)(ダウンロード)

