恋愛スピリッツ
自分以外の異性と二人きりで会って欲しくない。
自分以外の異性とは極力、話して欲しくない。
自分以外の異性を好きになる可能性を全部なくしたい。
これまでに「恋愛」をしてきた人たちの多くは、交際中に、彼女や彼氏に対して↑のような「束縛をした」、あるいは「された」ことがあるのではないでしょうか?
それぐらい恋愛中において相手を「束縛」するという行為は、ごくごく当たり前のことです。
(もちろん、全く、「束縛」しないという人もたくさんいますが。)
実は、私は、このような恋愛における「束縛」を行う理由には、「男」と「女」で違いがあるように感じています。それは、
男性は、「彼女」を「束縛」をする理由は、「恋人を支配したい欲望」からくることが多く、
女性は、「彼氏」を「束縛」をする理由が、「恋人を失うことへの不安」からきていることが多いというものです。
このように感じるのは、私が今まで出会った「束縛」したがる男性の多くは、
「恋人」が誰か別の男性に奪われてしまうかもしれない「不安」から「束縛している」というよりも、「自分のものである恋人」が自分が知らない行動をとることがイヤだから「束縛」しているように見え、
一方、ついつい「恋人」の行動を「束縛」してしまうという女性の多くは、男性のような「支配欲」からではなく
もしかしたら、私が知らない間に、私よりも素敵な女性が「恋人」を奪ってしまうかもしれない・・
私よりも素敵な女性に「恋人」が心を奪われてしまうかもしれない・・
といったような「不安」が、「私以外の異性と会って欲しくない」というような「恋人」の行動を「束縛」してしまう原動力になっているように感じることが多いからです。
このような「束縛」したいという感情は、どうしてもマイナスなイメージをもたれてしまいがちですが、「自分のものにしたい」という支配欲も恋愛感情としてごくごく自然な一つの形だし(強すぎると問題ですが)、
「不安だから束縛したい」という感情も、「自分への自身の無さ」と「恋人を失いたくないという気持ち」のあらわれなので、否定されるようなものではないはずですし、むしろ、不器用な「好き」という形だと受け取ることができれば、どちらが理由だとしても切ない行動のように思えないでしょうか?
そんな、とりとめもないことを、ラジオから流れてきた、チャットモンチーの「恋愛スピリッツ 」を聴いて、考え込んでしまいました。
「あの人を被せないで あの人を着せないで
あの人を見ないで わたしを見てね
あの人がそばにいない あなたのそばに今いない
だから あなたは わたしを手放せない」
(恋愛スピリッツ/チャットモンチー)
私のイチオシのガールズバンド、チャットモンチーの2ndシングル「恋愛スピリッツ」は、
恋人を「あの人」(恋人の元カノ、あるいは想いをよせているけれども届かない存在(人妻とか教師とか?))に奪われてしまう不安な気持ちを、
恋人が「わたし」といるのは、「あの人」が今、恋人のそばにいないからだ。
と信じ込むことで、不安をかき消そうとしている想いを赤裸々に綴った、不器用でひねくれているけれども、それ以上にどうしようもないくらいに「好き」という気持ちをビリビリ感じられる切ない恋愛ソングです。
ここで、描かれている感情は、冒頭で述べた「束縛」とは、ちょっと違いますが、共通しているものは、圧倒的な「恋人を失ってしまうことへの不安」、そして、「今、私のそばにいること(恋人でいること)への、自信の無さ」です。
この歌、「恋愛スピリッツ」というタイトルながら、「好き」という、言葉は、一度も出てこないし、さらには、
「あの人がそばにきたら
あなたのそばにもしきたら
わたしを捨てて あの人をつかまえるの」
と、相手の「好き」という感情を認めていないうえに、
「あの人がそばにいない
だから あなたは私を手放せない」
と、わたしのそばにいる理由を「あの人」がそばにいない、「ただそれだけ」だと、言い切っています。そして、
「だから あなたは私を手放せない
だから私はあなたを想っている」
と、わたしが「あなた」を「想って」いる理由すらも、あなたがそういう理由で「わたし」を手放せないからだと言い切っています。
この言葉だけを、そのまま受け取ってしまうと、打算や計算によって成り立っている、恋人関係を唄っているように感じて、そこには「不安」ではなくて、「強さ」しか感じることができないかもしれません。
が、このうた、冒頭で
「今まで ひとつでも無くせないものって あったかな?
今まで ひとりでは探せないものってあったかな?
どうか無意味なものにならないで・・
どうか今すぐ意味のあるのものになって・・」
と、遠回しにですが、今、成り立っているであろう「恋人」という関係へ執着していることや、そして、この関係が、「意味がないものにならないで」と、「結婚?」を思わせるような「特別な関係」になって欲しいという、強い感情を抑えきれずに零しているせいで、
「あの人がそばにいない
だから あなたは私を手放せない」
と、いう現状への割り切りかたが、とてつもなく、切ないものに思えてしまいます。
この歌、ボーカル&ギターの橋本絵梨子が18歳のときに書いたとのことなんですが、自分が18歳の時には、絶対にこの曲が持っている「切なさ」に気づいてあげることができなさそう。。
18歳の女のこは、わかってしまうのかな?
もし、そうなら、ホントに感服ものです。
と、随分と長いレビューになってしまったチャットモンチーの2ndシングル「恋愛スピリッツ」。
この曲だけで、小説や映画が何本か作れてしまいそうな気にさせてくれるくらいに、様々な情景が思い起こされる、心を揺さぶられる言葉とサウンドが詰まった一曲です。
実際、私は、この曲の記事をふたつに分けて、もう一本レビュー書こうか本気で考えてしまったほど(汗)
メンバー3人ともが、作詞をこなすスリーピースバンド、チャットモンチー。
「ハナノユメ」では、ドラムの高橋が、「恋の煙 」では、ベースの福岡が、そして、今回の「恋愛スピリッツ
」では、ボーカルとギターを担当し、すべての作曲も行っている橋本が書いたとのことですが、それぞれが個性的な歌詞を書きつつも、すべてに「チャットモンチー」らしさを感じることができることにバンドとしての一体感も感じてしまうから、スゴイを通り越してミラクル!
本当に、様々な音楽雑誌、番組等で、デビュー当時から
「音楽シーンを塗り替えてしまう、規格外の才能の塊」
と、騒がれていたこのバンド。
新しい曲を聴くたびに、本当に、まさにすぐそこまで、彼女たちの「時代」が来ているんじゃないかな?
と感じてしまう、今日このごろ。
(2006年6月1日:文責:cinemanabu)


